top of page

及川さんと国見ちゃん女体化。岩及(♀)、花国(♀)前提の岩国(♀)、花及(♀)のスワッピングです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 岩泉さん好きです、と言って白い腕を伸ばして覆いかぶさる男の頭をかき抱こうとする国見の言葉も仕草も全部、全てわかっていて煽っているように見えた。案の定それに引っかかって、俺の腕の中の細い身体が、一体どこにそんな力があるのかというような馬鹿力でもって鳴き喚いて暴れた。

「いやー! 岩ちゃんは私のなの! 国見ちゃんとキスしちゃだめー!」

「ほら及川いい子だからおいでってば」

 及川が闇雲に腕を振り回すので、俺はこいつを羽交い絞めにするかそれともその細いけれどバレーで鍛えられた腕の餌食にならないように体を離すかで一瞬迷って、その迷いで一歩動きの遅れた俺は潰れた蛙みたいな声を出す羽目になる。ドン、とみぞおちに一発、加減を知らない及川の拳が入る。

「うぇっ……! 及川、おまえなぁ……」

「岩ちゃんのばかぁー!」

 えーん、と漫画のヒロインみたいに大げさに泣いている及川を、さっきまではなんだか少し可哀想だな、なんて思っていた自分が馬鹿だった。事故とはいえ殴られた痛みは苛立ちとなって、俺は貼り付けたような笑顔でもって及川を抑える腕に力を込める。今度は手加減無しだ。少しも動けないように抱き締める。逃れようともがく及川の力は思った以上に弱くて、精いっぱいの力で暴れているであろう及川は、俺の腕に抱きしめられるとぴくりとも動かなかった。かわいい癖に馬鹿力だとか普段からかっていた分、その弱さに驚く。そうしてやっぱりコイツも女なんだなぁ、なんてわかりきったことに改めて感じ入った。

 しばらく嫌とか馬鹿とかキライだとか、少ない語彙で罵っていた及川も、すぐに体力が尽きて、だんだんと抵抗が収まり、ついにはぐったりとして俺の身体にもたれかかるようになった。

 ひっくひっくとしゃくりあげながらも、俺の胸に顔を埋めて声を抑える及川の髪を優しく撫でる。茶色い癖っ毛は、国見のさらさらとした真っ直ぐな黒髪と全然違っていた。

「ほら、もう泣かなくていいから、な? 俺とヤレばいいじゃん。きもちいいよ?」

「だって、岩ちゃんが、ぐすっ」

 鼻を啜る及川のぐしゃぐしゃの顔を上向けさせて、つんと高い鼻先にキスを落とす。

「んっ」

「な? いいだろ? 泣くなって。岩泉はお前のもんだよ。今までずっと岩泉とばっかセックスしてんだし、経験と思って一回くらい別の奴とヤッとけって」

 そう言って涙に濡れた頬、赤くなった瞼、白いおでこと顔中にキスの雨を降らせる。その隙に右手は及川の肉の程よく付いた柔らかい太ももをこっそり撫でる。左手でなだめるように背中を撫でる動きと同じような手付きで、少しも嫌らしいことなんてしませんという顔をして、少しずつ欲情を煽る。手はすぐにスカートの中に入り込んで、肉付きのいい尻を撫でる。細くて骨っぽくて今にも折れてしまいそうな国見の身体との違いに、あぁ今俺は悪いことをしているんだ、と実感して背筋にゾクゾクと快感が走った。

「なぁ、俺のこと嫌い?」

「……嫌いじゃない」

 ちゅ、とリップ音を立てて涙の溜まった目尻にキスを落とす。泣いたのにほとんど化粧の崩れていない目元が及川らしいと思った。人目を惹く派手な顔、耳を擽る女の子らしい声、おしゃべり上手な薄い桃色の唇。何もかもがこの少女を学校一の美少女たらしめていた。

 小さくて薄い布越しに柔らかい尻を撫でる手を、少しずつ前に回していく。太ももをなぞって、今度は前からスカートの中に侵入しようとする手を、不穏な動きを察知した小さな手が慌ててぎゅっと掴んでくる。

「なぁ、嫌いじゃないなら、キスしていい?」

 あともうほんの少しで唇が触れそうな距離でわざと止まって尋ねる。返事はないけれど、薄い桜色の唇が物欲しそうに少しだけ開いて、悪戯する手を止める小さな手に力が込められた。それを了承ととって、俺は優しく口付けた。ちゅっ、ちゅ、と音を立ててついばみながら、ゆっくりと深い口付けに変わっていく。小さな手を振りほどいて、指を絡ませて繋ぐ。少し強引に舌をねじ込んで、逃げるように戸惑う舌を吸い上げる。背中に手を回して逃げられないように抱き寄せると、及川の大きな胸が俺の身体に挟まれてぐにゃ、と潰れる感触がした。

 ぴっちりとしたユニフォームを膨らませていた大きな胸。サーブやブロックでジャンプする度に揺れる胸は、隣のコートで練習する男子バレー部ではいつだって話題の中心だった。下世話な話で盛り上がる度に一度は触りたいと皆が口々に言っていたあの及川の胸が、今自分の好きに出来るのだと思うと興奮と優越感で異常なほどの快感を覚えた。

 キスの合間に鼻にかかった息を吐きながら、及川の舌が少しずつ積極的に俺の舌を追いかけはじめ、それを合図に俺は宥めるように背中に回していた手をゆっくりとわき腹に向かって移動させた。そうして前に回した手で大きな胸に少しだけ触れる。抵抗はなかった。そのまま優しく服の上から撫でる。膨らんだ胸が大きな山みたいに凹凸を作っていた。

「すげ……」

 思わずこぼれた声に、及川が頬を染めて俯く。

「な、ちょっとだけ、触ってい?」

 返事を待たずにシャツのボタンを外す。恥じらい俯く及川の顎を指先で持ち上げて、もう一度キスをした。

 シャツの下から現れた薄い色のインナーは、いかにも女の子らしいレースが付いていたけれど、今はそれを可愛らしいなんて思っている場合ではない。大きく開いた襟元から覗く深い谷間が、胸の大きさを表していて気持ちが逸る。シャツをはだけさせ、インナーの肩紐を落としてずり下げた。白い生地に、白いレース、白い刺繍が施されたブラジャーが、白くて豊満な胸を覆っていた。きめ細かい白い肌が、いかにも柔らかそうに膨らんでいる。思わずゴクリと生唾を飲んだ。

「でけぇ……」

 ブラジャーの上からぎゅ、と掴むと、掌に収まらないサイズのそれが押しつぶされて歪に形を変える。

 国見の胸はスレンダーな身体と同じで控え目で、申し訳程度に膨らみがあるだけだった。俺はそういうのも嫌いじゃなかったし、ブラをずり上げていつもしっかり可愛がっていた。けれど、これはそうはいかない。大きな胸がいくら柔らかく形を変えようとも、ブラはずり下げるか、後ろのホックをはずすしかないだろう。俺は少し迷って、後ろに手を回してホックに手をかけた。パチ、と音がして外れると、ブラがはらりと落ちた。

「あっ」

 びくっと小さな肩が跳ねて、及川が慌てて両手で胸を覆う。大きな胸は、大事なところだけ隠して及川の小さな手からスライムみたいにあふれ出る。

「大丈夫だって、触るだけだから」

 俺は宥めるようにキスをして誤魔化す。何も大丈夫ではないし、触るだけなんて馬鹿みたいな言葉で及川の手を強い力で掴んでどかした。柔らかい肉の感触が、手から股間に直に伝わるような気がした。こんなに柔らかいものを今まで一度も触ったことがなかった。よくマシュマロだとか例えられるけれど、これはそんなもんじゃない。マシュマロみたいに空虚な柔らかさではなくて、もっと弾力があって、でも柔らかくて、地球上のどんな物質も、これの真似はできないような、そんな凄い感触だった。

「すっげぇ……」

「んっ、あっ……」

 ぎゅう、と優しく握ると溢れる白い肉、手で持ち上げるように持つとだらりと零れる柔らかさ。股間が熱くなるのがわかった。

「及川すっげぇかわいい」

 言い切らぬ内に唇を合わせる。舌を絡めて、吸い上げる。今すぐにでもセックスがしたかった。

 キスの合間に太ももを撫でる。少しずつスカートの下に入って行く手を、及川が慌てて掴んだ。

「ねぇ、いいじゃん。もうキスしたんだしさ」

 この期に及んでストップをかけられるなど我慢できるわけがない。俺は出来るだけ優しい声音で、及川の耳元に甘く囁く。だって、及川自身ももう、止めることはできないのだ。

「でも……」

「ね、触るだけだから。嫌なら最後までやらなくていいよ」

 シたいくせに、という言葉を飲み込んで、俺は制止する手を振り切って中に手を突っ込んだ。ぴったりと閉じられた太ももの間に手を滑り込ませ、下着の上から少しだけ触れる。

「あっ」

 びくっと体が跳ねて、膝に力が込められるけれど、俺の手はもうそこに触れているので及川にはもう止めようがない。下着の上からそこをなぞると、くちゅ、と水気を含んだ音がした。

「すっげぇ濡れてる」

「あっ、あぁ……」

 体を折り曲げてびくびくと震える及川の身体を起こして、もう片方の手で胸をなぞる。薄い色の小さな乳首を指先でなぞると、恥ずかしそうな高い声が唇から零れた。それに気を良くして、小さく主張し出した乳首を指先で捏ねながら、下をなぞる指の動きを少し早くする。下着越しでもわかるくらい濡れているそこを少し力を入れて押すと、くちゅ、と水気を含んだ音と共に柔らかい肉の感触がした。

「あっ、はぁ……ん、マッキー……」

 白い手が力なく俺のシャツの袖を掴んで、涙混じりの大きな茶色の瞳が困ったような顔で俺を見上げて来る。そのあからさまな仕草でさえ、俺の興奮を煽った。

「いれていい?」

 返事を聞かずに下着の中に侵入する。あっ、という小さい声と共に及川の身体がびくりと震えたけれど、少しの抵抗も無かった。薄い毛の向こう、しっとりと濡れたそこを中指で優しくなぞる。

「んっ、んぅ……」

 鼻にかかった甘い声を出して、及川が快感に体をくねらせる。何度かなぞってから、中に指先を少し侵入させた。熱く湿ったそこは、招き入れるかのように俺の指に柔らかく吸い付く。堪らなくなって、俺はぐっと指を奥まで突き入れた。

「あっ、はぁっ、んっふぅ……」

「及川……」

 俺は今、友人の彼女の中に指を入れている。キスをして、胸を揉んで、もっとすごいことだってするんだ。そう思うともう頭がいっぱいになって、何も考えられなくて、ただただ下半身に熱が集中するのだけがわかった。目の前の及川徹という少女が、俺と同じようにぼうっとした目でこちらを見つめているのに気付いた時、俺は無我夢中でその桜色の唇にがむしゃらに吸い付いていた。

「んっ、んっ」

「はぁ、ふっ……」

 貪るようなキスをしながら、中に入れた指を上下に動かす。絡みつくような肉の感覚に気持ちが逸った。指を二本に増やして、中を広げるように指を動かす。柔らかい肉の吸い付く感触と、溢れる愛液に、俺の中心がすっかり立ち上がってズボンを押し上げていた。もう完全にいきり立った性器が、熱く湿ったそこに入れたくて堪らないと主張していた。もう少しも我慢できそうになかった。

「なぁ、及川、あっち見てみ」

 とろんとした目で俺とキスをする及川の顎を掴んで右にぐりんと向ける。そこでは獣みたいな岩泉が国見に覆いかぶさって、国見の白くて細い足が律動に合わせてぐらんぐらんと力なく揺れていた。動きの合間合間に、ハァハァと荒い二人分の呼吸が漏れて、岩泉の日焼けした背骨のくぼみを汗が一筋伝い落ちた。国見の白い腕が岩泉の浅黒い首に回されているのが、暴力的な色のコントラストとなって俺たちの目に襲いかかっていた。

「ぁ、岩ちゃんが、国見ちゃんと……」

「な? 国見気持ちよさそうだよな。及川も俺と最後までやっちゃおうか?」

「ん……岩ちゃん……」

 思い出したように及川の大きな瞳に涙が浮かんで今にも溢れそうに揺らぐので、俺は慌てて及川の顔をこちらに向けてついばむようなキスをする。片手間にズボンのベルトを外してチャックをおろし、膝立ちになって下着ごとずり下げた。尻が半分見えるくらいまで下ろして、ゴムの袋を破いていそいそと被せる。逸る気持ちを抑えられずに根本まで適当にかぶせると、俺は及川の赤く熟れたそこに先端を擦りつけた。

「あっ」

 抵抗できないように及川の胸を上から抑えつけながら、腰を動かして先端をそこにずりずりと擦りつける。

「ん、マッキー……」

「なに? 入れてほしい? それとも」

 やめとく? と心にも無いことを言ってニッと口の端を上げると、及川は真っ赤な顔を両手で覆ってぶんぶんと首を振る。

「なに? 入れてほしくないってこと?」

 またぶんぶんと首を振る。

「入れてほしいの? どうしたいの? ちゃんと言って」

 女の子にいじわるなことを言っている時が、自分の人生で二番目輝いている瞬間だと思う。一番はバレーをしている時。

「マッキーいじわるだから嫌い……」

「なんで? 俺は及川のこと好きだよ?」

 そう言って笑いながら俺はまた腰を揺らして及川のそこに先端を押し当てる。息を飲む音と共に及川の足がびくりと跳ねて、その反応に嗜虐心が沸々と溢れだす。

「ね、このまま腰進めたら入っちゃうよ?」

 太い先端部分をそこに押し当てたまま体を倒して及川にのしかかると、身体の動きで自然と及川の中に太い先端が入って行く。

「あっ、あぁ……!」

 びくっと跳ねた足がそのまま俺の腰に纏わりついて、無意識なのか及川は腰を浮かせてねだるように俺のモノに押し付けてくる。

「ほら、そんなことしたら入っちゃうよ? いいの?」

「ん、だってぇ……もう、シたい……」

 及川は俺の首に手を回してしがみつきながら、ぐすっと鼻を啜る。うっかり泣かせてしまったなぁ、なんて心の中で舌を出しながらカリ首までゆっくりと押し入れる。押し広げるように太いそこを入れると、後は簡単でゆっくりと全部が埋まっていく。奥まで押し入れて、ふぅ、と溜め息を吐いた。

「全部入ったの、わかる?」

「……うん」

 覆いかぶさった姿勢のまま及川の顔を覗き込むと、大きな瞳を潤ませた及川が恥ずかしそうに視線を逸らした。そういう様子をかわいいなぁと素直に感じ入って、俺は及川の少し長い前髪が目にかからないように優しく流す。現れた綺麗な形の額にちゅ、とキスを落とした。

「んっ」

「動かしていい?」

「うん……」

 こくんと頷いて素直に返事をする及川が既に自分に陥落したことを悟って、俺は奥底から湧き上がる興奮を抑えきれずに夢中で腰を動かした。獣みたいに腰を前後に振って、及川の中、一番奥に当たるように体を密着させる。

「あっ、あっ、はっ、あぁ」

 律動と一緒に上がる甘えるような嬌声の合間に、俺はまたいじわるな質問をする。

「ね、岩泉と違う? 岩泉しか知らないんでしょ?」

「あ、あぁ、わかんな、いっ」

 目尻から生理的な涙を一筋流して、及川が快感に身悶えた。気持ち良すぎて何が何だかわからなくなっているのだろう。素直に聞かれたことに答える及川に、俺は悪戯心が湧いてずっと疑問に思っていたことを尋ねた。

「なぁ、及川っていつショジョソーシツしたの?」

「あっ、ん、岩ちゃんと、ちっちゃいころ、んっ」

 ギリギリまで引き抜いてから思い切り奥を突く動きが気に入ったのか、及川はマッキーもっとぉ、と甘えた声で首にしがみ付いてくる。

「小さい頃っていつ? 中学?」

 俺が童貞卒業したのなんて高校入ってからなのに、岩泉は身近に美人の幼馴染いていいよなぁ、と内心羨ましく思う。悔しいのでそんな素振りは少しも見せずに、でもやっぱり悔しいのでいじわるするように激しく及川に腰を打ち付ける。

「あっ、マッキーはげしっ」

 律動は緩めずに、及川のクリトリスを指先で捏ねると、甲高い声で及川が喘いだ。部屋に響き渡ったその声に、先に終わって休憩していた岩泉と国見の視線がこちらに向けられる。二人の視線を感じた俺は気を良くして及川を追い詰める。指先で潰すように捏ねると、二人の体液で濡れたそこはくちゅくちゅといやらしい音を立てた。きゃんきゃんと小型犬みたいな高い声で喘ぐ及川は嬌声の合間にやだとか無理とか、煽るだけの言葉を半泣きで繰り返した。

「ね、初めてはいつだったの? 教えてくれないとやめないよ?」

「ん、ひっ、うぅ、あっ、あぁっ」

 背中を反らせて快感に身悶える及川に、俺の声は届いていないようだった。あぁこれはもうすぐイクなぁ、と俺もラストスパートをかける。及川の腰を抱え直して、更に深く突き上げる。

「あっ、あっあっ、あぁ! ひっう、ぃ、いわちゃ、いわちゃんっ」

「こーら、マッキーでしょ」

 ほとんど無意識に彼氏の名前を叫ぶ及川の頬を軽くぺちと叩いて意識をこちらに向ける。焦点の定まらない目がそれでもなんとかこちらに向けられたので、俺は及川の耳元で「一緒にいこっか」と囁いた。

「あっ、ん、きもちい、いっしょ、に、マッキー」

「ん、いいよ、イッて」

 及川の顔の横に手を付いて、無心になって腰を打ち付けた。最後はもうよくわかならくて、気が付いたら射精していた。こんなに興奮したセックス初めてかもしれないなぁと満足な溜め息を一つ吐いて及川の隣にごろりと寝転がる。

「ハァー……」

 素っ裸のまま仰向けに倒れて、目を閉じる。気持ちよかったなぁと余韻にふける俺の額に軽い平手の衝撃が走り、反射で目を開ける。

「いてっ。って国見かよ。なに、怒ってんの?」

 無言で人の額を叩いておいて、何も言わない国見に、こういう時って構ってほしいんだよな、と俺は手を伸ばして頭を撫でる。“中学の頃から好きだった岩泉さん”とヤレるのが嬉しくてノリノリだった国見も、なんだかんだ言って俺が及川としているのを見ているのは複雑な気持だったのだろうか。普段何事にも淡泊な癖にセックスは大好きでアブノーマルなことを何でもヤリたがる年下の彼女だが、構ってほしいとか好きだとかの表現がびっくりするほど不器用で、俺はそういうところを凄く愛しいと思う。

 自称“羞恥心を母親の腹に置いてきてしまった女”の国見が下着も身に付けずに素っ裸でいるので、俺は足元に投げ捨てられていたシャツを拾って国見の肩にかけてやる。

「なに、岩泉とヤッて満足したら、やっぱり俺とセックスしたくなった?」

 優しく頬を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じて俺の手に頬を擦り寄せてくるのが猫みたいでかわいいなぁと思う。指先で顎を持ち上げて触れるだけのキスをする。

「私も岩ちゃんとちゅーしたい……」

 隣で寝転んでいた及川が、シーツで胸を隠しながら羨ましそうにこちらを見て呟いた。及川は何かっていうと二言目には岩泉の名前を出す。クラスが別でも昼は一緒に食べているし、帰りはお互いの部活が終わるのを待って一緒に帰るし、朝もいつも一緒に登校している。部活動での実績に加え、及川の目立つ容姿といつも一緒にいる最早行き過ぎた愛情のせいで、二人は学校一有名なバカップルだ。

「で、その岩泉はどこなの?」

 さっきまでは国見と一緒にいたはずだが、いつの間にか姿が見えなくなっていた岩泉の行方を国見に尋ねる。

「岩泉さんなら――」

「台所行ってただけだ」

国見が答えるより早く岩泉の声がして、すぐに部屋の入り口に素っ裸のままの岩泉が現れた。いくら部活の着替えで散々裸を見ていて、更にはスワッピングをする仲と言っても、ここまで堂々と前を隠しもせずにうろつかれるとこっちが目のやり場に困る。国見が素っ裸なのは羞恥心が希薄だからだが、岩泉の場合は男らしすぎるからだろう。

「岩ちゃん!」

「おら、及川これ飲め」

「お水~!」

 岩泉を見た途端にこにこと上機嫌になった及川が、手渡されたコップを受け取って喉を鳴らして飲む。ありがとう、と岩泉にしか見せないような満面の笑みで礼を言って、及川は岩泉の腕に絡みついた。

「岩ちゃんはいつも優しい」

「ん、どこも痛くないか?」

岩泉が検分するかのように及川の身体に手を当てて確かめるので、俺は失礼な、と思い「痛くしてませーん」と横から口を挟む。

「大丈夫だよ」

 及川は岩泉に構ってもらえて心底嬉しいというのを隠しもしない満面の笑顔で答える。二人とも俺の声など全然聞こえていないかのように、すっかり自分たちの世界に入ってしまっていた。太くて節だった指が及川の頬を撫で、首を伝って肩に下り、腕をなぞり、腰を確かめている。その合間に好きだの愛してるだの歯の浮くようなセリフを言い合う二人に、俺はもはや耳を塞ぎたくなる。そんなにお互いのこと大好きで堪らないならスワッピングなんかしてないで一生お前ら二人で完結してて下さい。俺はもう絶対誘われても及川なんか抱かないぞ。いくら性欲が俺を魔の淵に誘おうとも、絶対にだ。

「くにみー、もう帰ろう……」

 バカップルの相手はしていられない。見ているこちらが疲れて来る。あの二人は一生ああなのだろう。きっと死ぬ直前までああやってイチャイチャしているのだ。友人とスワッピングをしようが、何かのすれ違いでどちらかが浮気をしようが、きっとあの二人は別れない。離れられないだろう。お互いの全ての初めてを捧げあっているから、既に重すぎる責任がお互いにかかっているのだ。

「あー、そういえば」

「なんですか」

 薄い身体に薄ピンクの下着を身に付けてインナーを探す国見が俺の言葉に振り返った。

「あの二人って初めてセックスしたのいつなんだろうって思って」

「小五だって言ってましたよ。前に、及川さんが」

「小五!? え、マジで言ってんの!? 小学五年生!?」

 なんだそんなことかと言った風に、国見は自分の脱ぎ散らかした服を探し始める。

「別に今時珍しくないでしょう。学年に何人かいましたよ。中学生の彼氏とヤッたとか」

「え、いや小五とか俺ドッジボールしかしてなかったよ!?」

 不健全すぎるでしょ! と騒ぐ俺に、国見は眠たそうな覇気の無い黒い瞳をこちらに向ける。俺はこういう気だるげな雰囲気の国見がすごく好きだった。

「不健全とか、スワッピングも大概ですよ。だいたい花巻さん、二人でできる“不健全なコト”なんてほとんど私とやり尽くしてるでしょ」

 そう言って、家にある不健全なおもちゃの名前を列挙し出した国見に俺は顔を赤くして慌てて口を塞ぐ。

「わぁーったから! 言わなくていいの! 英ちゃんはもっと恥じらいってものを持とうね?」

「来世でがんばる」

 今から頑張ろう? と長めの前髪から覗く額を優しく撫でながら諭す。国見は気持ちよさそうにされるがままになっているが、コイツが俺の言葉をどこまで聞いているかわかったものではない。とにかくそれはもう色々な行為を率先してやってみようとするえっちなこの子に恥じらいが生れる時、きっと隣で馬鹿みたいにいちゃつく二人に永遠の別れが来て、世界は未曽有の大災害に陥り文明は滅びるだろう。それくらい有り得ないことかもしれない。別に俺は、国見が一生恥じらいを持たないえっち大好きっ子でもいいし、岩泉と及川のバカップルが気持ち悪いくらい一生一緒にいても構わないのだけど。

bottom of page