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花国前提で国及がヤッてます。花国のエロもあります。岩ちゃんは見てるだけ。

なんでもオッケーな方のみでお願いします。

 

 

 

 国見が腰を振るのに合わせて組み敷いた男の体が揺れた。きれいに筋肉の付いた腹や胸が華奢な女と同じように上下に揺さぶられて、その度に小さく苦しそうな息を吐く音が聞こえるのは、背徳的で嫌らしく見えた。自分も普段はこうして組み敷かれる側だから、あの人からはこんな風に見えているのだろうか、と国見は思った。

 特に激しくも無く淡々と腰を振っても、突っ込む方は気持ちが良いものだ。国見は中学の時に少しだけ付き合った女の子とセックスをした時のことを思い出した。あれ以来、女の子とはしていないから、こんな感じだったなぁと少しだけ懐かしく思う。腰を振っているだけで気持ちよくなれる男は単純だ。だが、突っ込まれる側はこんな単調な動きでは昇りつめるほどの快感を得られないことは、国見もよく知っていた。

 もっと、奥を激しく突くような感じ……。

「あぁっ!!いっ、ふぁ……それ、やば、あ、国見ちゃ……!」

 国見が腰を押し付けるように中を穿つと、組み敷いた男が甲高い声で善がった。顔を腕で覆っているので表情は見えないが、今のはよかったらしい。国見もこんなふうにされるのは好きだった。気持ち良いことはみんなあまり変わらないらしい。それならこれも気持ち良いだろうか、と国見は上体を伸ばして男の胸元に顔を近づけた。ぺろりと舌で胸の突起を舐める。そこは既に快感で固く尖っていた。

「ひ、ぃ、あぁ……!ぃ、いいから……そんなこと、しなくて、ぇ……」

 拒絶する声を無視して行為を続ける。乳輪に沿って円を描くようにぐるりと舐め、相手がそろそろ核心に触れてほしくて体をよじり出すまでひたすら焦らす。そうして体が小さく揺れるのを感じたら、固くなった突起に触れて、舌でこねまわす。あの人はいつもそうやって焦らすような、しつこいくらいじれったい愛撫をする。まだ付き合ってすぐの頃、あんまり焦らすから変な声が出て、それが恥ずかしくて意趣返しに「変態オヤジみたいだ」と言ったら、「変態オヤジとヤッたことあんの?興奮する」と返されたことがある。ちなみに国見は変態オヤジと援交をしていたことは一度も無い。

「も、もう、わかったから……そんなことまでしなくていいから……」

 胸の突起を執拗に舐める国見の頭を、男がグッと押してどけようとした。あまり力いっぱい押しては悪いと思っているのか、頭を押す力は弱く、国見は顔を上げて男を窺う。顔を覆っていた腕で国見の頭を押しているので、男の顔があらわになる。それなりに感じているようで、目元に少し涙が滲んでいるように見えた。生理的な涙だろう。

「及川」

落ち着いた低い声が、国見の組み敷いた男の行動を止める。及川と呼ばれたその男は、国見の中高時代の部活の先輩で、今呼びかけてきた岩泉の恋人だった。国見と及川が交わるベッドの後ろから、岩泉がじっとこちらを見ていた。その声には及川の行動を咎めるような響きがこもっていた。

 国見の頭を押し返していた及川は、岩泉の言葉に一瞬動きを止めて、それから観念したように手を離した。自由になった国見は、続けろということだと解釈してもう一度舌での愛撫を再開した。

セックスをしているのは国見と及川だったが、その部屋を支配しているのは岩泉だった。彼の声一つで、国見も及川も思うが儘なのだ。いつもうるさくて自分勝手なところもある及川が、こういう時だけ岩泉に従う姿を見て、意外に可愛らしいところもあるのだな、と国見は岩泉の好みを疑い続けていたことを内心謝罪した。

 

 国見が先輩の及川とこうなったのは、岩泉からの要望だった。国見は駅前のジムに週に三回通っていて、岩泉も同じジムに通っているのでお互い高校を卒業した今でも関わりがあった。その日もたまたまジムで一緒になっただけだ。腹筋をもう少し割りたいだとかそんな話をして、汗をかいたのでシャワーを浴びた。ロッカールームに人は少なかったが、二人のロッカーが少し離れていたので特に会話も無く着替えていた。黙って着替えているだけの自分をやけに見ているな、とは思ったが、特に不審に思わなかった。国見は体を動かして疲れていたし、せっかくシャワーを浴びたのにロッカールームの冷房が弱くてうっすら汗が滲んできていたから早く着替えてしまいたかった。そうしてふと気付くと、真後ろに岩泉がいて、驚いて小さく「あ」と呟いた国見の声にかぶさるように言われた。

「国見、及川のこと抱いてみねぇか」

 

 国見はどうしてそれを了承したのか、自分でもよくわからなかった。ただ、いつもあの人とのセックスでは突っ込まれる方だったから、久しぶりに誰かを抱いてみたかったのかもしれない。それとも、長年まっとうな人間だと思っていた先輩にこんな提案をされて、どう断ればいいかわからなかったのかもしれない。けれど、本当は理由なんかなくて、なんとなくなりゆきでというのが一番正しいような気もした

 奥まで届くようにと国見は及川の腰を抱え直した。固い筋肉の付いた太ももを掴んで引き上げるように一気に挿入すると、及川は女みたいな声を出して喘いだ。相変わらず顔を腕で覆っているが、きっと気持ち良くてきれいな顔がぐしゃぐしゃになっているのだろうな、と思うと及川のことが可愛らしく思えた。奥を突くのは気持ち良くて、国見は犬みたいに腰を振った。前髪が汗で張り付いて気持ちが悪かったけれど、直したってまたすぐ張り付くから直す気にもなれなかった。いつもはあの人が国見の長い前髪を払ってくれていたから、自分でするのも面倒だった。

 はぁはぁと荒い呼吸で腰を打ち付けて、もうそろそろだなと国見が思ったころ、黙って見ていた岩泉がベッドの傍に立った。国見は腰を動かすのを止めずに、顔を上げて岩泉を見た。

「及川、手ぇどけろ」

「ぁ、い、いわちゃんっ、ひぅ……は、はぁ」

 岩泉の声に及川は顔を覆っていた腕をどけて、その手を岩泉に伸ばす。ん、と呟いてその手を握った岩泉は、国見に向き直って

「中に出していいぞ」

と言った。いいのかよ、とさすがに躊躇した国見が何も言わずに岩泉を見つめていると、岩泉の空いた手が国見の顔に伸びてきて、思わずぎゅっと目を瞑った。大きな節くれだった指が、汗で額に張り付いた国見の髪を優しく払った。そしてまた及川に向き直り、目を優しく細めて、国見の前髪を払った手で愛しそうに頬を撫でた。及川も気持ちよさそうに目を閉じたので、国見は岩泉に言われた通りにした。久しぶりの男としてのセックスは気持ち良くて、中に出す背徳感で余計にゾクゾクした。

 

国見がシャワーを浴びて戻ると、及川はまだベッドに裸のまま寝ていたが、その腰にはシーツが被せられていた。岩泉の姿は無くて、国見がきょろきょろとホテルの部屋を見回していると、寝ていると思った及川が寝返りを打って国見を見た。

「岩ちゃんならトイレ。一人で抜いてる」

 そうですか、と言ってベッドに腰掛ける。濡れた髪をタオルで拭く国見の腰を、及川がなんとはなしに撫でていた。温かい手の感触が心地よくて、国見はされるがままになった。そうしていると部屋の中は静かで、さっきの出来事が夢のようにも思えるのだった。

 

 

 

 

 

 

国見に覆いかぶさった男が、犬のように荒い息をして腰を振る。その動きに合わせて小さく息を吐きながら、デジャブだ、と国見は思った。

「あ、は、ぁ、はなまきさん、ぁっ」

「喋る余裕、あんのっ!じゃあもっと激しくしよっか」

 花巻と呼ばれた男はニヤニヤと笑って、国見の腰を抱え直す。

 あ、またデジャブだ。

 中に入ったものがゆっくりと引きぬかれて、せっかくの快感が抜けてしまいそうで無意識に花巻に手を伸ばす。その手が花巻の短い髪に触れるか触れないかのところで、今度は一気に中を穿たれる。強すぎる快感に国見の手はびくんと跳ねて宙を掴んだ。

「ぃ、いぃ、そこ、あ、はぁ……こないだ、あぁ!おいかわさん、のことっ、ん!」

 ぐいぐいと腰を押し付けるように中のいいところを集中的に攻める花巻の動きに、国見は嬌声を上げながらも話を続けようとする。

「それ、いま、言うこと」

「あ、あぁ、んっ、おいかわさんの、こと、だい、たっ」

「え、ちょっと」

「だから、セックス、したっ」

花巻が体勢を変えて国見の太ももを抱えると、一際高い声を上げて鳴いた。国見が快感から閉じていた目を開けると、自分に覆いかぶさった花巻が戸惑ったような表情でこちらを見ていた。

「いや、なんかめっちゃ気になるけど、でも先にイキたいからヤッちゃってもいい?」

「どうぞ、おれもイキたいんで」

 そう、と言って花巻は体を曲げて国見の胸元に顔を近づける。そのまま乳輪をぐるりと舐めて、国見の体は次に来る快感を予期して震えた。そして柔らかくて熱い舌が国見の固くなった突起に触れて、国見は女みたいな甘い声で鳴いた。

 俺のセックスは全部、この人のセックスだ。

国見はふとそう思って、そう言えば高校一年の時からずっと一緒にいるのだから、そうなっても仕方がないのだと気付いた。国見はあれから一度も女とは付き合っていない。セックスをした相手は他にもいるけど、それも一度きりの後腐れの無い相手としかしていない。

 そう思うと積み重ねてきた年月が愛おしくて、腕を伸ばして花巻の頭をかき抱いた。花巻の腰が国見の尻にぶつかって、パンパンと乾いた音を立てた。その音に追い詰められるように二人は同時に達した。汗で湿った体を密着させてイクのが国見は一番好きだった。

 

「花巻さん、ティッシュ」

「はい」

「ここも拭いて」

「はいはい」

「丁寧に拭け早漏」

「……彼氏の言葉のDVがこわい」

花巻の冗談を無視して国見は寝返りを打つ。そうするといつも花巻が後ろから抱きしめるように寄り添ってくる。それが二人の事後の常だった。

「さっきの話さぁ」

「俺が及川さんとヤッたっていうやつですか」

「……いつ?てか岩泉と付き合ってるんじゃないの及川」

「三日くらい前。岩泉さんに頼まれてしたんです」

「え、どういうこと」

「さぁ。寝取られに興奮するんじゃないですかね。岩泉さん俺と及川さんがしてるのずっと見てましたし」

「なにそれお前と及川とか俺も超見たいんだけど」

「はぁ?きもいですよ。俺は見られたくないですから」

「なんで!岩泉はよくて彼氏の俺は嫌とか……」

「気持ち悪いからです」

後ろから抱きしめてくる花巻の手が明確な意図を持って国見の胸を触りだしたので、国見はうんざりとして制した。悪戯を咎められたのが気に食わなかったのか、花巻がぐりぐりとうなじに頭を擦りつけてきて、そういう甘えたような態度を国見は憎めなかった。

「てかお前がタチ?」

「まぁ」

「マジか。お前タチするんだ。俺のことも抱きたい?」

「絶対嫌です」

「なんでよ」

「気持ち悪いからです」

「そればっか」

「事実だから」

国見がそう言うと会話はそこで途切れた。そうなると背中から伝わる体温と事後の気怠さが手伝って無性に眠くなる。国見の目が閉じられて、規則的な寝息がこぼれ始めた頃、花巻は夢と現の狭間で国見と及川が交わるのを想像した。ネコ同士のセックスって、なんだかすごくレズっぽいな、と思った。

 

 

 

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